2023


22★地理学読図演習(2)で現地踏査 2023.12

 

 昨年度に引き続き,読図演習という授業でフィールドワークを行いました.実際にはフィールドワークを企画するような内容です.大まかにゼミごとのグループに分かれ,ゼミらしさが出るような地域・内容を読図し,現地で説明をしてもらいます.一日で4スポットは回りますので,約ひと月かけて地域やルートを受講生に考えてもらうものでした(移動範囲を狭めることはいくらでもできます)

 土曜組は,朝,聖蹟桜ヶ丘駅に集合し,ジブリ映画『耳をすませば』にかかわる街の取り組みや景観を見て回りました.個人的に”いろは坂”は馴染みある場所ですが,歩いて回ったのは今回が初めてでした.次は電車で秋留台地へ.開花時期ではありませんが,カタクリの群生地や周辺の地形などを観察しました.ギリギリ電車に間に合い,何とか井の頭恩賜公園まで移動してからお昼タイム.公園を含めた周囲の土地利用の変遷を説明してもらいました.最後は目白~高田馬場で谷地形や神田川,妙正寺川の様子を観察.さすがに暗くなっていましたが,行き交う西武線の音に負けず頑張っていました.おとめ山公園はなかなか面白かったので個人的にも再訪予定です.

 日曜組は町田駅からスタート.ブラタモリでも紹介されていた相模原市と町田市の境を示す”何か”を探してみました.勿論,境川の旧河道も現場で押さえました(旧河道の一部が県/都の境になっています).続けてバスでつくし野方面へ.県/都の境で異なる用途地域のの様子を観察しました.戸建住宅から畑(と墓地)に切り替わる景観はまさに行政界が可視化されているようでした.電車を乗り継ぎ続けて等々力渓谷へ.お坊さんから「地層,削らないでね」と釘をさされつつも(注:この日はねじり鎌もハンマーも持っていませんでした),武蔵野台地の地形・地質を(紅葉付きで)学びました.昼食後,西武世田谷線を半ば満員状態にしながら(すみませんでした…)烏山川暗渠と世田谷城址公園を巡りました.旧流路を歩くのはシンプルですがわかりやすい地理ネタです.この日の最後はイルミネーションの眩しい東京駅.小~街規模のヒートアイランド対策を観察しました.駅前の風の通り道で海陸風も何とか視認できました.

 小難しい課題とは自分でも思いますが,巡検の企画&他のグループとの調整という大変さも体感してもらえたのではと思います.レポートの〆切はひと月後ですが,大変さを覚えている間に書けるだけ書いておいてほしいな,と.

井の頭恩賜公園にて.この後行った神田川とのつながりに,   ちゃんと気づいていた人はどれほどいたかな.
井の頭恩賜公園にて.この後行った神田川とのつながりに,   ちゃんと気づいていた人はどれほどいたかな.
等々力不動尊にて.下位から東京層の泥岩層,武蔵野礫層(段丘礫層),武蔵野ローム層,立川ローム層.          削らなくても武蔵野台地を学ぶには十分すぎる露頭です.
等々力不動尊にて.下位から東京層の泥岩層,武蔵野礫層(段丘礫層),武蔵野ローム層,立川ローム層.          削らなくても武蔵野台地を学ぶには十分すぎる露頭です.

19★現地研究@天竜川 2023.11

 

 通信教育部だけではなく,通学課程の「現地研究」も担当する機会をいただきました.2泊3日のフィールドワーク実習です.秋に実施できるということでしたので,せっかくなら思いっきり河川礫の実習をしたいな…と思い,選んだのが天竜川でした.学生24名&TA1名との巡検です.

 1日目.浜松駅に集合し,貸切バスで天竜川を北上しながら,まずは佐久間ダムを目指しました.寒すぎたらどうしよう,と思ったのですがまずまずの好天でしたので,佐久間電力館の展望スペースで昼食をとれて一安心.山びこも楽しみつつ,領家帯の花崗岩類を観察してもらいました.ダム開発の歴史もかかさずに.その後,下流へ移動して,支流の水窪(みさくぼ)川沿いの露頭で三波川帯の片岩とご対面.片理構造独特の割れ方を見てもらいました.さらに下り,別の支流である気田(けた)川へ.縁あって秋葉山神社付近の河原で堆積岩の勉強ができました.
 2日目はあいにくの雨模様.磐田原台地で扇状地性礫層を観察した時間帯だけ小ぶりになってくれたのは,日頃の行い? 道の駅花桃の里では,事前に花桃カレーのおいしさを宣言しておいたので割とスムーズに昼食をとれたように思います(ここに来たら花桃カレーは絶対に外せません).午後は日差しも眩しい好天に.1日目にしっかり天竜川の礫種を覚えてもらったので,その成果を,とグルーブに分かれての礫径・礫種の調査実習でした.天竜川は地質帯の勉強にもうってつけだと思っています.帰りは遠州鉄道に揺られて新浜松駅へ.ノリ?で浜松餃子を大所帯で食べに行くひと時もありました.
 3日目は遠鉄バスで一路,天竜川河口へ.とにかく風,強し.河口州も期待していたほど伸びておらず,加えて前日までの雨で増水気味…海岸侵食の現場は見てもらえたと思いますが,河口州の面白さを十分に伝えられなかったのは残念です.
 参加した学生さんと協議した結果,レポートの〆切は大晦日になりました.宇津川が割と良く言うネタですが,くれぐれも紅白歌合戦をBGMにレポートの書くことのないように!(楽しいレポート,期待しています)

天竜川で礫調査中.川の流れに平行なライン21m&流れに直交のライン21mを3区分ずつして,6グループにそれぞれ担当してもらいました.データは後日共有して,レポートのひとネタに.
天竜川で礫調査中.川の流れに平行なライン21m&流れに直交のライン21mを3区分ずつして,6グループにそれぞれ担当してもらいました.データは後日共有して,レポートのひとネタに.

18★ホームカミングデー 2023.11

 

 都立大の大学祭”みやこ祭”にあわせて,同窓会のイベント:ホームカミングデーが,今年も行われました.今年は人数制限もなく,受付で昨年のようなごたごたがなかったのがよかったです.久々に地理の後輩と挨拶ができて,ちゃんと余裕がありました.

 個人的に,今年は記念講演会を落ち着いて聞くことができましたし,一番の大仕事である大抽選会の司会も無事に終えました.諸々片付けた後に,地理1年生の屋台にも押し掛けることができました(地図記号のパンケーキ,という発想は結構好みでした.宇津川の分は,確かハイマツ林と果樹園).

 ホームカミングデーの報告は同窓会HPにも掲載されています(こちらから).


16★日本堆積学会20周年記念行事 2023.9

 

 ついにこの日が来た,という気持ちでした.2年前から委員として準備を進めてきた記念行事(★13参照)が,9月末日,無事開催に至りました.様々なご縁から,メイン会場を法政大学のスカイホールとすることになり,各種事務手続きをはじめ,諸々の発注などまさしく奔走していたなと振り返ります.

 前日までいくつか小さなミスもあり,当日朝もヒヤヒヤして迎えましたが,自分の職場で学会の皆さんや馴染ある方々と顔をあわせることができて,どこかこそばゆく感じつつも嬉しい思いがありました.落ち着いてお話できる時間(と心の余裕)がなかったことが残念です.

 プログラムは下のポスター(これも作成を担当しました)のとおりの盛り沢山で,楽しい堆積学三昧でした.当日も基本裏方として動いていましたが,最後のパネルディスカッション(堆積学sedimentologyについて若手が喋るので”シャベロントロジー”)では,7名のパネラーのひとりとして登壇する機会もありました.楽しいひと時でしたが,あまり時間が残されておらず,会場からの反応は果たしてどうだったのか…今も気になっています.

 近隣の私学会館で行なった懇親会にて,皆さんが盛り上がっている様子を見て,ようやくひと心地がついた一日でした.

 最後に.準備にあたって多々サポートいただいた事務の皆さまに深く感謝申し上げます.また,前日・当日に大活躍してくれたアルバイト学生の皆さん,本当にありがとうございました.いろいろと「やります」と言ってくれて,すっかり甘えてしまいました.朝早くから晩の懇親会まで,ただただありがたかったですよ.頼もしかった皆さんに拍手.

 


14★日本第四紀学会プレ巡検@狭山 2023.8

 

 毎年恒例の夏の非常勤講師を8月下旬に無事に終え(ちなみに今年度で退職し)慌ただしくも月末に日本第四紀学会のプレ巡検引率を務めました.巡検企画のお声がけをいただいたきっかけは,実はこの個人HPに載せたトトロ巡検だったのですが,トトロ巡検に向いている狭山丘陵北側は他の巡検が舞台としているということでしたので,丘陵の南側で一般者向けの巡検を別途企画することになりました.

 丘陵の南側にちょうどはしっているのが玉川上水です.羽村市史に携わっている身ですし,羽村こそ(いささか遠くて)ルートには結局組み込めませんでしたが,残堀川と上水のクロスや立川断層などなど,いくつか見どころを紹介できたのは大変ながらなかなか楽しく,何よりありがたかったです.

 一緒に引率を担当したベテラン陣(高校の恩師含む)に混ざってのお役目はとかく身の引き締まるものでしたが,大変勉強になった機会でした.

軽便鉄道跡に残されたトンネルは,6月末の下見に一番快適なバージョンを楽しんでしまいました(冷気が,見えます)
軽便鉄道跡に残されたトンネルは,6月末の下見に一番快適なバージョンを楽しんでしまいました(冷気が,見えます)

12★「自然地理学演習」を終えて 2023.8

 

 通信教育部のスクーリング科目として,自然地理学系の卒業論文を書くために必要な実習,という授業を今年度も担当しました.2コマ×6日間という集中講義です.受講生の方々も大変だろうなと思いつつ,教員も負けるわけにはいきませんでした.夏の早朝出勤は冬よりも断然心地よく,楽しかったですが,今夏は朝もなかなかの蒸し暑さでまいりました…

 (卒業論文を通した)研究とはどのようなものか,を短期間で平易に伝えることは難しいですが,少しでも参考になるようなエッセンスが伝わっていますように(指導には携わらないからこそ).受講人数上,最後の2日間で皆さんに模擬的な卒論構想発表会をしていただきました.既に取り組まれている方,まだまだ悩みのループ中の方,大変なことも多いとは思いますが,卒論の過程を楽しんでほしいです(「研究とは」がわかるかもしれませんし,学会で発表を聞いてみては,ともっと伝えておけばよかったです).


10★しまなみ海道を(途中まで)ゆく 2023.6

 

 縁あって,今治~生口島を訪ねることができました.念願のしまなみ海道,初”上陸”です.梅雨の合間の好天に満喫でき,前線の心遣い?には大変感謝です.

 自転車で楽しまれている方々を横目に,宇津川はレンタカーでささっと今治から生口島まで向かいました.しまなみ海道の島々は花崗岩由来で,生口島ではレモン谷と呼ばれる観光地も含め,以前崩れたのだろうなという斜面を利用したレモン&みかん栽培の畑を見られました.耕三寺の紫陽花や建築物(石材含む)を愛でつつ,富士山や浅間山の溶岩およびイタリアの大理石に囲まれた(詳細は割愛)一日でした.島の〆は真砂のビーチにしました(ビーチはどうしても気になります).真砂に打ち上げられたミズクラゲたちが何とも綺麗に見えました(背景が真砂だといよいよ).

 尾道まで渡らずに戻ってしまいましたので,続きはまたいつか.

瀬戸内”感”が伝わるような,いまひとつなような…       (瀬戸田サンセットビーチにて)
瀬戸内”感”が伝わるような,いまひとつなような…       (瀬戸田サンセットビーチにて)
こちらの方がよい,かな…? フェリーは呉行
こちらの方がよい,かな…? フェリーは呉行

8★日本堆積学会@新潟大 2024.4

 

 関東ではまさかの夏日!という頃,新幹線でトンネルをいくつも抜けた先は10℃前後の新潟でした.防寒着はさすがに,と置いていきましたが,ストールを持参しておいてよかったと思いました.
 行事委員として初めての対面開催に携わり,あちらこちらで「お久しぶり」の声を耳にできたことは嬉しかったです.久々のポスター発表も楽しむことができ(”コツ”を少し忘れていたようです…),堆積学会ならではの堆積学トークトークでは「自然災害調査において考えなければいけないこと」のテーマに堆積学者の視点から自然災害調査の現場について”生”の声を聞けたのはとても有意義な時間でした.

 対面の学会開催が続けばよいなと本当に思います.

春の新潟砂丘から越後山脈の西端を望めました
春の新潟砂丘から越後山脈の西端を望めました

6★堤外地科研費研究会@神戸大 2023.3

 

 前職場から引き続いたご縁として,荒川・名取川の堤外地利用に関する共同研究が続いていました.最終年度の〆として神戸大で研究会が行われることになり,新大阪経由で神戸入りしました(行きは阪急電鉄で).六甲山地は眺めこそすれ,上がったことはありませんでした.神戸大の立地は大変驚きましたが,良い眺めをまずは楽しめました(写真).もっと大阪よりの風景も撮れましたが,かつて阪九フェリーに大変お世話になっていた身としては,このショットが一番心に刺さりました(手前に神戸ターミナル,ほぼ直線状の奥に泉大津ターミナルが望める).人文地理,自然地理の両専門家が集まって行われた研究でしたので,同じ地点でも見方が様々という点がとても楽しかったです.

 研究会の翌日には長田地区で巡検を行い,震災復興と土地利用についてじっくり歩いて学ぶことができました.大人のみ(※no学生)の巡検は久々で,刺激もありました.

 帰りは阪神電車に揺られることにしたのですが,その際,御影石の聖地を訪ねた記念にと「御影駅」で駅名のプレートを撮影できたことも満足でした(途中下車するかしないか少し迷いました.駅員さんに迷惑はかけていないはず……)

 六甲山地,またいずれ(そのときは有馬にもよりたいものです).

神戸大学鶴甲第二キャンパスより
神戸大学鶴甲第二キャンパスより

4★束の間の名取川調査 2023.2

 

 少々過密と思いながらも,イベント(下記)を終えた後,今度は仙台入りをして名取川での植生調査に同行しました.日頃,授業等でのアウトプットが多いだけに,こうした機会でのインプットはとても貴重で,今回も樹種や年輪採取など大変勉強になりました.

 続けて堆積物調査も行う予定でしたが,宿で朝食をとっていると,TVから関東での物々しい大雪警戒情報が(その時偶然にも窓の外では晴天下に粉雪が舞っていました…).降雪は帰京予定日の夕方からの予報でしたが,少々悩みつつも,早く切り上げてその日のうちに戻りました.
 翌朝自宅で目覚めた際,外が薄ら明るくなっているのを感じて,早めに帰って正解だったと胸をなでおろしたりした宇津川でした.

記録も兼ねて.サイカチ(皀莢).ねじ曲がった大きな実(15~20cmくらい)とハリエンジュよりも強烈な棘が印象強し.
記録も兼ねて.サイカチ(皀莢).ねじ曲がった大きな実(15~20cmくらい)とハリエンジュよりも強烈な棘が印象強し.

3★みやこの集い 2023.2

 

 「最近の動向」に違いはないので,こちらで紹介することに.

 2月の第1土曜日,これまで都立大同窓会が毎年行っていた”新年会”を”みやこの集い”という名前でリニューアルし,内容もカジュアル?に,構内にある国際交流会館内のレストランで行いました(※宇津川も同窓会理事(イベント委員)として企画・運営に携わりました).幅広い年代の方にとにかく楽しんでいただきたい,それだけの思いで準備をしました.兎年にちなんでウサギグッズを持ち寄っていただいたり,ゲームもあの手この手と考えたり…
 結果がどうだったか,の答えは正直来年の”集い”でわかる気がします.盛り上がったようには思うのですが…理事かどうかは関係なく,ひとりでも多くの方が今回の集いについて同窓生に広めて下さればとは思います.お世話になった方々に再会できる嬉しさや,世代を超えた実は…という関わりに気付く瞬間の嬉しさは,同窓会ならではなのだろうな,と(個人的にも,懐かしい先生にお会いできたのは本当に嬉しかったのです).

この時期はどうも梅の写真を載せたくなります
この時期はどうも梅の写真を載せたくなります

1★冬期スクーリングの思い出 その1 2023.1

 

 束の間の冬休みを終え,本務業務が再開してあっという間に1月第4週へ.この週は通信教育部の冬期スクーリングで「自然地理学演習」を担当しました.1・2限×6日間という行程にはやや自分との闘いもありましたが(特に朝食の確保),通われる学生さんだって大変だよな…と思いながら授業を進めました.

 卒業論文に向けた演習ですので,卒論のテーマ設定や手法などをひとりひとりの興味にあわせて考えてもらいました.最終日は主にレジュメを用いた構想発表会を行いましたが,教員からのフィードバックが時間内に終わらず後日に…となってしまったところが特に反省です.受講生の皆さま,1週間お疲れ様でした.そして,発表へのコメントがお手元に届くまで,もうしばらくお待ちください…

21★稲城層観察実習 2023.11

 

 「地質・岩石学及び実験」という授業を今年度から担当しています.前半は岩石学,後半は堆積学の内容です.ちょうど堆積学の導入,という頃に,穴澤天神社裏で上総層群稲城層の浅海性の地層を観察する実習を行いました.スケッチとレポートを課していますが,さすがに70名は無理なので希望者のみ(それでも午前と午後に分けて).他の人は自分自身で博物館等で剥ぎ取り標本を探しておいで,としました.

 当日は都立大の恩師にもサポートいただけました(谷がふたつあるため,二手にもわかれやすいです).感謝いたします.初・地層,初・ねじり鎌,という人が多かったと思いますが,寒空の下,地層に向き合いつつ友人と議論しつつ頑張っている姿が見られました.地質の専門家になるわけではないでしょうし,地層観察は一生に一度の機会かもしれませんが,各々,ご馳走…じゃなかったご地層を楽しんでもらえたならよかったです.レポート添削は宇津川の冬休みの宿題です.

こちらの方が浅海でもやや沖合の地層が露出しています.   基本砂層です.
こちらの方が浅海でもやや沖合の地層が露出しています.   基本砂層です.

20★人文地理学会巡検 2023.11

 

 11月最後の大仕事は,人文地理学会でした.宇津川は非会員ですが,法政大が会場校ということもあり,会場係のお手伝いを少々…そして何より,野外巡検の引率を担当する大役がありました.「玉川上水を巡る」がテーマでしたので,当初は地形的な側面と羽村市史編さんにかかわる内容程度を担当する予定でしたが,本格参戦と相成りました.

 本当に良く晴れた一日で,遅めの紅葉も見ごろでした.第一部はまいまいず井戸と羽村取水堰,お昼をはさんで第二部は小平監視所,第三部は国分寺(殿ヶ谷戸庭園),そして第四部は四谷大木戸です.下見を行った際,国分寺まででもかなりのボリュームであることはわかっていたのですが,ご一緒した先生と話した結果,はじまりとおわりが大事かな,となり,暗くなることは承知の上で,羽村~四谷大木戸までの43kmを一日で巡ることに.
 電車移動が中心ですので,駅ホームでの待ち時間等に,普段接点のない先生方とお話をする機会があったのはとても貴重であり,新鮮でした(己の不勉強具合も痛感しました).もっと落ち着いて,ディスカッションする機会をつくっていればさらに楽しめたのに…が反省点です.
 当日お話できた先生方,ありがとうございました.

殿ヶ谷戸庭園にて.国分寺崖線をうまく使ったつくりになっていて,大変感動しました.
殿ヶ谷戸庭園にて.国分寺崖線をうまく使ったつくりになっていて,大変感動しました.

17★冬スク現地研究(下見) 2023.10

 

 本務先の通信教育部で開講されている冬期スクーリング「現地研究」を今年度も担当することになりました.昨年度は”石灰岩”づくしの内容でしたが(詳しくは昨年度の動向へ),今回は熊本で”火・風・土・水”をテーマに自然災害と人間生活を巡ることにしました.ありがたいことに,このサイトを見て下さっている学生さんがいるようですので,今の時点であまり書くことはできませんが,熊本を選んだ理由は実は割と邪なものです(当日皆さんにも考えてもらおうかと笑)
 そのようなわけで,10月頭に下見をしてきました.晴天下の熊本城や草千里などなど,本当に美しいところばかりでした.注目のポイントは…まだ書けません.が,恐らく参加者の皆さんは2016年熊本地震を中心に下調べしてくると宇津川は確信しています.

 2月の熊本は(すみませんが)初めてなのです.秋(?)とは異なると思いますが果たしてどのような姿で出迎えてくれるのか,今からとても楽しみです.有意義な3日間にできるように準備頑張ります(あ,程々にいたします).

熊本城公園(二の丸広場)から.戌亥櫓に足場が組まれていました.
熊本城公園(二の丸広場)から.戌亥櫓に足場が組まれていました.
阿蘇火山博物館の展望デッキから.               草千里に目を向けるとウェディングフォトの撮影に向かう新郎新婦の姿が(草色のなかの白ドレスはひと際眩しいものがありました)
阿蘇火山博物館の展望デッキから.               草千里に目を向けるとウェディングフォトの撮影に向かう新郎新婦の姿が(草色のなかの白ドレスはひと際眩しいものがありました)

15★ニューカレドニア調査(速報) 2023.9

 

 9月頭から約2週間,南国の島,ニューカレドニアに単身渡りました.今年度から科研費による調査ができるようになり,意気揚々と(本当は多少必要な怖れ?もあまり感じずに)飛び立ちました.2019年以来のニューカレドニアです.

 一番の目的は海岸(正確には海浜)の地形・地質調査でした.しかし渡航費のあてもなく,コロナ禍も経た4年の間に,島は随分変化を遂げていました.最もショックだったのは「護岸」と「養浜」です.リゾート地としても知られるビーチはいよいよ著しい海岸侵食に悩まされ,特にアンスバタという地区では,芝生とヤシの並木からコンクリートの階段が伸びる(少々冷たい)海岸線に変貌しつつありました.まさに工事中のビーチ沿いを日々行き来して過ごしました.思い切ったなと正直思いましたが,危惧していた通り,道路にまで高潮が及んだようですし,本当に時間の問題だったのかもしれません.であれば尚のこと,この4年の間に現場の変化を逐次自分の目で把握できずにいたことが悔やまれます.

 悔やんでばかりもいられませんので,海岸線をとにかく見て回りました.地図やPC画面上のデータだけでは得られない,現場の様子を知ることから始めました.今回海浜(の木陰)で大活躍したのはポータブル顕微鏡でした.やっぱり,砂は面白いです.

 撮影した写真も,現地中のネタも,滞在中思うことも多々ありました.「徒然なるままに」もいくつか少しずつ載せておきたく思います.

アンスバタのビーチ(上)2023年(下)2019年       白い建物が一応目印に…なりますか?
アンスバタのビーチ(上)2023年(下)2019年       白い建物が一応目印に…なりますか?

13★日本堆積学会20周年記念行事まであとひと月 2023.8

 

 9/30(土)に日本堆積学会の20周年記念行事を法政大で行います.学会のハタチは昨年だったのですが,例によってCOVID-19のために開催を1年延期し,満を持しての企画です.目下バタバタと準備中の宇津川です(結構楽しいのですが大変は大変です).
 行事の詳細は特設サイトをご覧いただきたく思います(こちら).

 1年の延長に際して,この記念行事までのカウントダウンとして「リレーセミナー」と称し,堆積学を多方面からふれてもらえるようなセミナーを昨年より毎月行っていました.お昼休みの時間帯に,Zoomウェビナーを使っての開催でしたので,様々な方に参加いただける仕組みにはなっていました.こうしたツールとシステムの普及は正直大きかったなと常々思います.

 そして,恐れ多くもその最終回(アンカー)の講師役を務め,何とか終えました.タイトルは『地学教育と堆積学』にしました.研究者は研究者(専門家)を育てるだけではなく,特に小・中の教育の現場との間に立って入れる”仲介役”となる人材と教材の育成(作成)が必要ではないか,という持論を(ヒヤヒヤしながら)展開しました.人材の場合は,専門的な内容を対象にあわせて噛み砕いて説明できるスキルをもった人,です.教育の現場の話を耳にする機会は一応ある身ですが,きちんと自分の目で見ているわけではないため,机上の…とは思いつつ,将来の学会活動も意識しての内容でした.この辺は本当に研鑽を積みたいところです(そのためにはまずは身体を分裂させるところから修練しないといけませんが).

 さて最後に.このとりとめのないコラムをお読み下さった方へ.9/30(土),法政大で最も眺望の良い(何しろ26Fの)ホールでお待ちしています.

今回のセミナーでスポットライトを浴びた砂岩礫.         姫川調査の際,お近くの早川(in新潟)で拾ったものでした.     「ひとつの礫からでも地球の歴史は語ることができる」
今回のセミナーでスポットライトを浴びた砂岩礫.         姫川調査の際,お近くの早川(in新潟)で拾ったものでした.     「ひとつの礫からでも地球の歴史は語ることができる」

11★福井”短”訪 2023.7

 

 縁あって(PART2),福井を訪ねることができました.人生初福井です.今回は金沢から車で福井入りして,勝山,東尋坊,三方五湖と巡りました.九頭竜川を拝むことができたことも嬉しかったです.東尋坊は朝イチで行くもなかなかの日差しで,熱中症になっている方も見かけたり…

 いつも思うことですが,やはりいくら場所(≒名所)の知識があっても,現場を知らねば”理解”には遠かったのだな,と.今回は予想通り?東尋坊が良き学びの場となりました.あとは,念のためにとルーペを持参しておいてよかったです(実際,ルーペは携帯電話よりも携帯していたい欲があります).

 本当に短い福井滞在でしたので,またいつかじっくりと.

憧れの東尋坊.名の由来の”真実”を知り,ビックリ.安山岩だというのも知らずにいましたので大変勉強になりました
憧れの東尋坊.名の由来の”真実”を知り,ビックリ.安山岩だというのも知らずにいましたので大変勉強になりました

9★地方スクーリング@仙台 2023.6

 

 本務先の通信教育部で行っている3日間のスクーリングで,今年度は仙台に出張しました.ここ数年,研究でのご縁も濃かった仙台にこうしたかたちで再訪できたのはありがたかったです(授業内でも本当に少しですが仙台ネタを入れることができました).

 授業は「総合特講」という(実のところ何でもOKな)ものでしたので,自然地理学をベースに「旅」をコンセプトとした内容でまとめました.旅行好きな方には申し訳ない内容だったのは,地球上で起きている自然現象をどうしても比喩的に「旅」として表現して講義してみたかったのです.要反省です.

 スクーリングには全国各地から受講生の皆さんが集まります.ちょうど今回のスクーリング期間中,線状降水帯による強雨が各地でニュースとして報道されていました.授業でもリアルな自然現象(自然災害)として多少扱いましたが,正直気が気でない方々もいらしたと思います.

 今回はお供に厳選した礫たちを連れて行き(正確には事務の方で郵送物に混ぜていただき),授業でも紹介しました.中には名取川で拾った安山岩もありました.里帰りはさせてあげられなくてごめんなさい.

初の仙台上陸は,忘れもしない2010年夏.一日仙台をひとり満喫した次の日は,大巡検(泊りがけの野外授業)の集合場所:大曲へと向かいました.
初の仙台上陸は,忘れもしない2010年夏.一日仙台をひとり満喫した次の日は,大巡検(泊りがけの野外授業)の集合場所:大曲へと向かいました.

7★日本地理学会春季学術大会@都立大 2023.3

 

 本務先の卒業式(学位授与式)をさらりと終えた翌日から2日間,久々に対面での学会に出席しました.2012年に都立大(当時は首都大)が会場校となったときは,卒論を終えたばかりの一学生として計時係などのアルバイトにいそしんでいましたが,今回は2日目に常磐海岸での研究をいそいそと発表してきました.いろいろと構成に悩んだ発表でしたので,会場内にちらほらと確認した見知った学生たちにはいささか申し訳なかったです.

 もうひとつ大切なお仕事として,資格専門委員会のメンバーとして携わったニューズレター(こちら)を代議員会や高校生ポスター会場に用意したりもしました.

 日本地理学会は(特に春は)8~10会場が同時に開かれることもあり,興味の幅が広い身には程よい運動になりました(勝手知ったる会場を動き回ったとも言えます).自分自身の研究には繋がらないものの,興味の尽きないネタをあちらこちらの会場で仕入れることができて(今回は特に「都市・交通」)濃い学会参加となりました.

当日は残念ながら2日間とも雨…(写真は2016年4月に撮影)
当日は残念ながら2日間とも雨…(写真は2016年4月に撮影)

5★講師講演会 2023.2

 

 本務先の通信教育課程の学生さんで構成されたサークル(市ヶ谷パッションズ)から,オンラインでの講演依頼があり,土曜の夜に1時間ほど話をしました.学生さんの顔(反応)が見えにくいのは多少残念ですが,全国の学生が集える,私も夜に気軽に自宅から話ができる,といった点を考えると,オンライン会議ツールの普及は社会に割と大きな良い変化を与えたのかなと改めて感じました.

 講演の内容は何でも構わないということでしたが,ある程度要望も伺いながら,例によって「石の"声"を聞くー堆積物が教えてくれること」をタイトルに,好き勝手に話しました.礫コレクションを画面越しではうまく見せられなかったのでそこはやはり残念だったかも.逆に学生さんからの質問で,礫写真と採取地点から礫種を宇津川が同定してみる"挑戦"の時間もありました(”荒行”でしたが楽しかったです).

 理論を学ぶ機会も大切ですが,やはり河原で礫に向き合い,その礫から何がわかるのか,を一緒に考える機会もまた得たいなと思いました.それこそ,子どもたちとも(出前授業,的な…). 


2★冬期スクーリングの思い出 その2 2023.2

 

 先の演習を終えて3日間挟んだお昼前,宇津川は新山口駅に降り立ちました.秋に下見を行なった「現地研究」の本番です.気温がとにかく心配でしたが,程々の寒さでとても助かりました.
 1日目は秋吉台で自然環境と人間活動をテーマに見て回りました.数少ないドリーネ耕作地も帰り水付近から見え(バスの車高の高さは重宝します),ところどころ雪は残るも秋芳洞はやはり暖かかったです(シーズン外とはいえ人が少なくて驚きました).石材やセメント利用の”現場”も見ていただきました.

 2日目は火の山公園(まだ山口!)から関門海峡と北九州臨海部を眺めつつ(写真1)地形図&地勢図と照らし合わせる朝から始まりました.門司港でも展望台に上り,白島資料館で石油備蓄の話を聞くときも展望エリアまで上り,北九州市若松区の高塔山公園からも臨海部を見下ろし…とにかく多方面(の高いところ)からほぼ同じエリアを見てもらいました.テーマはエネルギーと産業でしたので,エコタウンや風車計画エリア,製鉄エリア,工場の跡地利用エリアが一望できる高塔山公園に日のあるうちに行けたのはやはりよかったです(さすがに風は冷たかったですね…)

 最終日は小倉南区の平尾台へ.秋吉台で見たピナクル(石灰岩の小山)と比較してもらい,少しだけ羊群原を散策しました(写真2).ごぼ天うどんを経由して,解散は北九州空港です.
 大事なく無事に終えられたことにはただただ安堵です.フィールドワーク授業は企画も実践も面白いですが,まだまだ要修行だと改めて思いました.受講生の皆さま,3日間お疲れ様でした!

写真1:朝の関門海峡.ここでは双眼鏡が大活躍(なかには「(双眼鏡が)ライブ会場以外で初めて活躍した」とお話される学生さんも)
写真1:朝の関門海峡.ここでは双眼鏡が大活躍(なかには「(双眼鏡が)ライブ会場以外で初めて活躍した」とお話される学生さんも)
写真2:野焼きを数日後に控えた平尾台.偶然にも,下見する消防士さんに遭遇しました.
写真2:野焼きを数日後に控えた平尾台.偶然にも,下見する消防士さんに遭遇しました.