17☆稲城層観察,ふたたび 2024.11
昨年度に引き続き,「地質・岩石学及び実験」の野外実習で,稲城層の観察を行いました.昨年度よりも参加者数が多かったのでしっかり観察してもらえるか少し心配でしたが,美しい葉理を前に模範的な歓声をあげる学生さんもいましたし,皆さん思い思いに興味ある地層を見つけてスケッチをしていましたし,熱心な質問もそこそこありましたし,何とか無事に観察できたかなと感じました.
ところで,参加にあたっては何度も「汚れても後悔しない服と靴」で来るようアナウンスしていたこともあり,確かにその点はクリアしていた印象でした.でも少々多摩丘陵の気温を侮っていた?のか,もう少し厚着で来て欲しかったなぁ…と.まぁ都心部と多摩の気温差を体感してもらう実習でもあったということで(まさか).
後日談:リアクションペーパーで「風邪をひきました」とご報告がありました.是非とも次に活かしてもらえれば,教員として大変嬉しいです.
15☆堆積学スクール@安倍川 2024.11
日本堆積学会が毎年開催している堆積学スクールで,今回都立大の恩師とともに講師を務めました.今回のスクールでは単に堆積物を観察するだけではなく,地形と堆積物の関係を理解してもらうことを主テーマとしました.舞台は安倍川流域,ということで,元となった論文は白井ほか(2019)です.学生さんから様々な分野のプロまで,総勢12名の方にご参加いただきました.
1日目は安倍川河口~三保松原を見学しました.西日本の荒天(のちに静岡も大雨)で新幹線が乱れ,集合にやや難儀しましたが何とか合流できて安堵しました(ジャンボタクシーの運転手さんにも感謝です).世界文化遺産にも登録されている松原と富士山の絶景は”心の目”で見るしかありませんでしたが,後ろを振り向いてもらい,生々しい海岸侵食の現場を目の当たりにしました.
1日目の夜には静岡駅近くの貸会議室で地形図を用いた地形判読の講座を実施しました.「何故そのような地形になっているのか」を堆積物の視点から考えたり.それなりの手応えを感じました.
2日目は程良いお天気に恵まれ(さすがに晴れの特異日です),一路安倍川上流を目指しました.途中,霞堤や斜面崩壊の様子を見学しつつ,赤水の滝(普段より大飛沫ver.)や滝周辺の土石流堆積物とまずはご対面しました.お昼の後はメインとなる大谷崩(1707年に特に激しく崩壊したとされています)へ向かいましたが,雲がせっかくの”崩れ”を隠してしまっていたのは残念でした.再度赤水の滝周辺へ戻り,今度は土石流堆積物の礫の配列(インブリケーション)をクリノメーターで計測する実習を行いました.最後は遠目にハイパーコンセントレイテッド流(土石流よりも土砂濃度が薄まった流れ)の堆積物を観察しました.
通いなれた場所ではありますが,少しいつもと異なる視点で安倍川流域を見られたように思いました.講師側にとっても濃厚な2日間でした.
13☆冬スク現地研究@佐賀(下見) 2024.10
毎冬(個人的に)定番となっているスクーリング科目「現地研究」の下見に行ってきました.今回の舞台は佐賀西部です.担当した初年度は山口~福岡北部,昨年度は熊本,と九州続きです.事務の方からも「九州シリーズですね」とコメントをいただきました.が,このまま九州を制覇するかどうかはわかりません(生真面目ですが,気まぐれなところもありますので).
例によって下見の詳細な報告はできないのですが,今回のテーマは「地形・地質から見た伝統文化と産業の発展」です.キーワードは,「有明海」「街道」「陶磁器」,あと「温泉」あたりでしょうか.「西九州新幹線」も味付けに少々.あくまで宇津川の専門は自然地理学ですので込み入った?産業の話はできませんが,地形・地質の視点から街を捉える楽しみを感じてもらえたらなと考えています.
ちなみに巡検先が巡検先ですので当たり前ですが,行く先々には大変ステキな「器」という名の誘惑が並んでいました.欲しいっ!だがしかし…を繰り返していました.参加予定の皆さん,大人買いにはご注意を.
11☆夏休み(前半) 2024.8
春学期の授業を終え,通信教育部のスクーリングを終え(今回は「地質・岩石学及び実験」の内容の一部をご提供しました).「夏休みだー」と思ったのも束の間,思いの外早く過ぎていきました.いつも通りといえばそうなのですが.
天竜川水系や安倍川,現地研究の下見で姫川や黒部川,早月川など,夏の河川にご挨拶に行きつつ,エアコンに助けられながら諸々をこなす日々.今年は浴衣を仕舞ったままだったと月末に気がつきました.季節の変化を楽しむくらいの余裕はもっていたいので,その辺りまだまだ精進です.
夏休み(後半)へ続く!
9☆島根→鳥取短訪 2024.6
縁あって,梅雨の合間に島根と鳥取を訪ねました.
”砂屋さん”としては,仁万のサンドミュージアムや琴ヶ浜(鳴き砂)を訪れることができて大変嬉しかったです.普段は観察対象である砂と(損得勘定?なしで)きちんと戯れることができたひと時でした.岩見銀山もとても惹かれたのですが急ぎ出雲に戻らざるを得なかったので,そこは残念でした.いつかまた是非.
朝の出雲大社は雨模様でしたが,厳かな雰囲気がいよいよ増していました.ここは参道から何から地形的にもとても心が躍り,授業用の巡検を企画したら面白そうだなと思いながら歩いていました(砂丘や断層などなど).一畑電車にも揺られてみたかったので,やはり巡検はアリか…?
どーしても斐伊川が宍道湖に注ぐところに行きたかったのでアプローチを試みました.が,さすがに植生が頑張っている時期でした.宍道湖の”波音”を聞くことはできたので欲求は割と満たされました.
一路,東へ向かい,途中無視してはいけない”聖地”を天候不良もあって無視し続け(特に中海さん,弓ヶ浜さんごめんなさい),10年ぶりに鳥取砂丘を訪ねました.報道で知ってはいましたが,砂丘の緑地化は「随分進んだなぁ」と感じるほどでした.腐植砂層もこうしてできたのかなぁとも考えたり.
帰ってきてから,撮影した写真を見返しつつ,勉強不足を補うべく図書を開いています.この時間はなかなかの至福に感じている宇津川です.
7☆同窓会×2 2024.6
6月第1週の土曜は都立大同窓会のイベント「みやこの集い」が南大沢キャンパス内の国際交流会館でありました.詳しい報告は同窓会Webサイトにお任せするとして,会場準備に苦心したイベントでしたが何とか開催にこぎつけられて本当によかったです.宇津川もイベント委員を務めている関係で各種お手伝いと,あと例によってマイクを握ることもしばしば.今回のイベントは”現役学生と卒業生の交流の場”という位置づけでしたので,そういう意味では,イベント後も会場の片隅で現役学生と卒業生が懇談している様子が見られてホッとしました.今回の軽食は,初めて小分けタイプのケータリングを依頼したのですが(このご時世にプラゴミを増やすことに罪悪感を覚えながらも)それも概ね好評だったかなと手応えを感じました.
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翌週の土曜は同じく都立大の地理学教室の同窓会でした.こちらは渋谷のシネタワー内の貸会議室で行われました.ちなみに渋谷は地下を歩くべし,という教訓を得ました(本当にこれからこの街はどうなってしまう?).出身学科の集まりの方が顔見知りも多いわけで,受付をサポートしたこともあり,お世話になった先生方や先輩・後輩と久方ぶりに言葉を交わすことができました.和気あいあいとした宴の雰囲気もとても良く,「これはチャンス」と思った宇津川は首尾よく?集合写真を入手することに成功しました.思い出という面も勿論ありましたが,レジェンドな先生方と一緒に写真を撮りたかったという少々軽薄な思いもあったことはここだけの秘密です.
5☆高尾山踏査下見 2024.4
本務先の野外授業を高尾山で行うことにしたため,下見に行ってきました.実のところ高尾山登山は14年分ぶりでした(私自身が大学の授業として出向いた時以来.早いものです).院生さんたちにも同行いただき,他にどーしようもなかったためにGW半ばの高尾山に挑みました.
本個人HPのことを学生さんに話すことはあまりないのですが,見る人は見ている,という情報を得たので,この日何をどう下見したのかはまだ書かないでおきます(授業を受講している人もいますし).とりとめのない感想ですが,14年も経つとさすがにあちらこちら施設や歩道が整備されていました.頂上が大変混雑していたことは言わずもがなです(高尾山頂上の思い出というと,14年前ではなくもっと遡って24年前の遠足です苦笑).
今年の梅雨入りはやや遅めになるでしょうか.果たして本番のお天気やいかに(受講生の皆さんの心がけ次第!)
3☆新年度,始まりました 2024.4
2024年度が幕をあけました.昨年度末は,本務先でも母校でも,それぞれお世話になった先生がご退職され,寂しさ募る3月でした(実のところ2年間連続でのお別れ続きで,両学科にとっての節目の頃に立ち会っているようです).約10年間携わった市史編さん事業も終えて,自分自身にとって仕事の節目もありました.今年はいよいよ早く咲くぞ,と言われ続けたサクラも結局4月まで耐え,菜種梅雨を境に一気にほころび始めました.
法政大3年目となりました.4/1に新入生と顔をあわせる機会があり,激励になるかはわかりませんが「これだけは他の人に負けないものを見つけてほしい.それが大学」と声をかけました.私自身も,興味の尽きない礫&砂たちの声をより聞けるように,自分磨きを頑張ります.
1☆鹿島・行方調査 2024.1
新年最初の調査地は南茨城でした.学生・院生時代の巡検は勿論,学会の巡検,その他諸々で比較的よく訪ねる場所ですが,多少間をあけることで「同じ地層でも見方が変わるなぁ」とよく感じる地域でもあります.
この地域でよく露出するのは下総層群という地層グループです.今回は(以前にもお世話になりましたが)下総層群に詳しい方にご一緒いただいての共同調査でした.堆積構造も美しい下総層群ですが,ここでも宇津川はやはり「礫の声が聴きたい」とサンプリングにも励みました.果たしてどのような声が聴けるのか,冬休みの課題です.
18☆地理学読図演習~行程を決めるのは君たちだ 2024.12
3回目となる「地理学読図演習」の現地踏査実習を日曜組と土曜組に分けて行いました.1日に4地域を巡ります.どの地域をどのような内容で,どのようなルートで回るのか,考えるのは受講生の皆さんです.決まっているのは「何かしらを読図すること」.大まかにゼミでグループ分けをした後,連想ゲームもしてもらいながらキーワードを抽出し,様々な文献をひと月半ほどかけて調べてもらいました.
日曜組は多摩センター駅からスタート.高齢化と街づくりがテーマでした.多摩NT出身者としてはもう喋りたくて仕方なかったですが,飲み込み飲み込み,引率と助言に徹しました.移動して,相模原の鵜の森公園では関東ローム層を観察.箱根東京軽石もバッチリ見える良い露頭ではありましたが,柵がもう少し露頭近くに設置されていればよかったと感じました.町田駅では再開発をテーマに,よく練られたルートを辿りました.最後は二子玉川.ここでは二手に分かれて,治水と土地利用,地形をそれぞれ観察しました.最終的な合流地点では壁を隔ててお互い待っていることに気がつかず…というオチがつきました.
土曜組は東京都庁の展望台に集合.長年都民をやっているつもりでしたが,今回初めて上りました.やはり寒い時期は高いところに限りますね.この班はどこから関東平野を眺められるか,をいろいろ考えていましたが,先輩方の助言もあって,結果的に良い場所と出会えたのではないかと思います.一度昼食解散後,麻布十番で再集合.再開発とフードデザート問題をその目で確かめました.続けて有明の埋立地&スポーツエリアへ.ピックルボール,という競技を初めて知りました(よく調べてきた!).武蔵小杉で多摩川の旧河道を辿る頃はもうだいぶ暗くなってしまって,思うようにいかなかったところは悔しく思っているかもしれません.
うまくいったこと,いかなかったこと,ひと月半かけて何を考え,現地で何を見たのか,個性的なレポートをお待ちしています.
16☆東京都立大学オープンユニバーシティ講座 2024.11
『多摩川とともに生きる 地理学の視点でとらえる過去から現在までの「川のある暮らし」』というテーマで2回なら成る講座を担当しました.初回は飯田橋にあるサテライトキャンパスでいくつかの地図資料を読み比べ,翌週に実際に現地を歩くという内容です.またも羽村~福生にお世話になりました(いつもありがとうございます).
宇津川の今回の狙いは,講座の企画書から抜粋すると,
(略)~自然地理学と人文地理学双方の視点から「川のある暮らし」を俯瞰して捉える力を養うことを目的といたします。今回は多摩川の中流域を例としますが、この講座が、皆さんのお住まいの地域を「地理学な視点」で捉え、客観的にご自分の町を知るひとつの契機となればとても嬉しく思います。
というものでした.そこで初回ではまず羽村市のハザードマップを見て,何故このようなハザードマップになっているのか,をじっくり読んでいただきました.平面的なハザードマップから立体的な(≒地形の)情報をつかみつつ,やや巨視的な目で土地利用の違いとその背景にある地形要素を考えていただく内容です.ハザードマップは汎用性のある教材だなと個人的にも改めて思いました.
当日は曇り空の下,羽村駅からスタートしました.まいまいず井戸は,つい一目散に底に井戸に向かいたくなりますが,周りの”壁”を構成する礫層にも注目して,多摩川の力を早速確認いただきました.この後,本当はコミュニティバス(はむらん)で多摩川近くまで向かう予定だったのですが,他の団体さんと鉢合わせしまい,「さすがにこの人数では…」と乗車はできず,ゆっくりと段丘崖を歩いて向かうことになりました.行程外でしたが,旧鎌倉街道や馬の水飲み場の跡などがオプションでつけられました.河原では,2019年台風第19号の影響の解説を(羽村市史第四部会長から)聞いた後,お昼休憩.宇津川ほか何名かの皆さんは,満開のカワラノギクの花畑のそばでお弁当を広げました.羽村取水堰から玉川上水沿いに歩きながら,段丘崖と段丘面をこまめに捉えながら(少し寄り道もしつつ)福生駅で無事解散です.
アンケートでは,「室内での判読」と「野外」の組合せが思いの外好評でした(大変安堵しました).別の方とまた回りたいというコメントもありがたい限りです.思い思いにお楽しみいただけたなら本当に幸いです.
14☆GIS NEXTに寄稿しました 2024.10
地理・GISの専門雑誌である『GIS NEXT』(株式会社ネクストパブリッシング発刊)の第89号に,日本地理学会会員としてこの度寄稿しました.少しひねくれた?ネタですが,吉と出るか凶と出るか(宇津川らしいと思ってもらえるか,はたまたお説教と判断されるか).日本堆積学会の2024年新潟大会でポスター発表した内容の一部にもなります.小ネタとしてご提供.
「礫の外形評価へのカーネル密度解析の適応」詳しくはこちら.
12☆夏休み(後半) 2024.9
9月に入ると,夏休み期間とはいえ,何となくもう後期開始という日々でした.日程的に調査らしい調査は難しく,殊にニューカレドニアなど未だに渡航情報は「レベル2」で…(不要不急の渡航は止めてください,というもの).そうこうするうち,日本からニューカレドニアへの直行便がなくなりました.元々コロナ禍の影響もあったとはいえ,ただただ残念でなりません(昨夏が宇津川にとってのラストフライトだったとは…)
中旬には日本地理学会@南山大で,先生方と話をするひと時がもてました.久方ぶりの名古屋日帰りでした.
厳密には夏休み明け,ですが,2泊3日の現地研究@糸魚川・黒部・魚津も無事に実施できました.今回は学生26名の参加で,皆さんの気持ちに呼応するような天気の移り変わり方でした(雨のタイミングとか,暑さの加減とか).今回の現地研究では「河川を比較して観察してほしい」という思いで行程を組み,1日目は姫川,2日目は黒部川,3日目は早月川を軸に,地形・地質に加えて植生や水文,土地利用に関するポイントを見て回りました.宇奈月ダム見学はなかなか刺激的でしたし,くろべ牧場では晴天下で扇状地を見渡せて気持ちよかったです.最終日の〆が魚津水族館(富山湾の地形と魚を考えるため)というのが個人的にちょっとだけツボでした.
短い秋を楽しみながら,秋学期も頑張ります.
10☆高尾山踏査本番 2024.7
現地踏査@高尾山の当日は梅雨の間の晴天で,下界(=登山前)で気温は既に35℃.幼気な学生になんと容赦のないことか(宇津川のことではありません).
ルートは,事前に読図を数週間にわたって行った上でグループごとに決めてもらっていました.往路と復路を変え,相違点の他,地理学的な視点で見たルート上の観察ポイントを探してもらいました.
学生の皆さんに塩分〇ャージを握らせて見送った後,頂上に先回りし(TAさんにも協力を依頼),全員の下山開始を確認した後で麓の集合場所へ向かいました.途中,天狗殿に学生の無事を祈願することも忘れませんでした.祈願の甲斐あって,参加者全員が無事に踏査を終えられましたので本当によかったです.
事前に読図した図が汗でしわしわになってしまった人もいたようですが,それもまた良し.レポートを楽しみにしています.
8☆羽村市史本編(上巻)できました 2024.6
院生のときからおよそ10年携わらせていただいた羽村市史編さん業務も無事3月末をもって終えました.羽村市史本編は上下巻からなり,第4部会が担当した自然の内容は上巻に収められています.この程,刊行の正式な告知がなされましたので,この場でもご報告いたします(羽村市Webサイト).
業務の思い出は本当に尽きないのですが,ただただ貴重な経験でした.また,市史編さんにおける「自然」の内容の重要さを改めて認識しました.今回の地形調査の内容は他部会でもとりわけしっかり共有されていました.諸遺跡の分布や土地利用の変遷などは特に地形条件にもよるところが大きいですので.
せっかくのご縁をいただきましたし,羽村の街にはこれからも(巡検などで)お世話になります.ひとまずは様々な経験と思い出をありがとうございました.
6☆多摩川の痕跡を探せ 2024.5
登戸~稲田堤付近の多摩川右岸を対象に地形図判読を行った後で,実際に現地を歩く,という授業を行いました.この地域に残る多摩川の痕跡を地形や土地利用から考えてもらうものです.「登戸駅集合→稲田堤駅解散&3時間以内」の条件は揃えて,実際に歩くルートはグループごとに決めてもらいました.判読の結果を踏まえて,ある程度どこに行けばよいかの見込みも立ったかと思いますし,仮に設定したルートでは今ひとつ成果が上がらなかったとしても,それは何故かを考察してもらおうと.
教員とTAは予め提出してもらっていたルートを把握したうえで事前にとあるポイントに先回り.途中報告を聞いた後は解散場所までまた先回り.たくさん歩いた学生さんたちに比べれば徒歩数は少ないですが,ちょっとは頑張りました.
解散場所で最終報告を聞いたところ,どうもいくつかのグループでは地元の方とお話しをする機会があったようです(そういう意味でも腕章を持たせておいてよかったです).聞き取り調査という程ではありませんが,それこそ現地に行かないと得られない貴重なデータです.ご協力くださった皆さま,ありがとうございました.
受講生の皆さん,オリジナリティあふれるレポートを楽しみにしています.
4☆日本堆積学会熊本大会+α 2024.4
この一年で3度目の熊本入りです(熊本にかなり愛着が湧いています).今回は熊本大学での学会出席出張でした.行事委員ということもあって,前日午後から会場入りしてオンライン配信(ハイブリッド式を試験導入)の準備にあたりました.当日も,ノートPCのべ4台に囲まれながら,イヤホンでオンライン配信の音声を確認しつつ,発表者のスライドも適宜切り替えたり(間に自分の発表もこなしたり).初日にブルーライト眼鏡をかけ忘れたので頭痛にも悩まされましたし,多々事前に工夫はしつつも当日のアクシデントはつきもので手間取ることも少なからずありました.それでも,オンライン対応へのやりがいと手応えは確かに感じられ,新しい学会スタイルのよいテストケースになったと思えました.
学会後は島原にわたり,雲仙普賢岳周辺や有明海沿岸,筑後川下流域を巡りました.特に低地の地形をじっくり巡る機会はなかなかありませんので地形図も広げて楽しみつつ,大変勉強になりました.適宜これからの授業にも取り入れていきたいと思います.
余談:がまだすドームや土石流被災家屋保存公園は高校の修学旅行コースでした.長崎での「平和学習」も覚えていますが,この「自然災害学習」も印象(衝撃)が強く,元々高かった地学への関心にも大きく影響したようにふと思い返しました.
2☆冬スク「現地研究」@熊本・島原 2024.2
通信教育部の冬期スクーリング「現地研究」を2月頭に熊本・島原で行いました.初日はあいにくの雨でした.これを予想していたわけではないのですが,熊本駅前のアミュプラザを集合場所にしておいて正解だったと思いました(広い屋根に感謝です).おかげで総勢20名の学生さんとの3日間を無難にスタートできました.
下見時の投稿(こちらの★17)にも書きましたが,今回の授業では”火・風・土・水”をテーマに自然災害と人間生活を巡ることにしました.初日はまず熊本城で「2016年熊本地震」の復興の様子を見学.二の丸公園を抜けて藤崎台のクスノキ群にご挨拶しながら,城やクスノキを支える地形・地質的背景(Aso-4火砕流台地)も学びました.後半は市電で水前寺公園を通過し,江津湖へ.豊富な地下水と生態系(スイゼンジノリと近年の外来種問題)について考えました.終了予定時刻を1時間超過してしまったこともあり,皆さんにはやきもきさせたと思います.要反省です.
2日目は中型バスを貸し切って阿蘇へ向かいました.その途中,やはり見ておかねばと堂園地区に保存されている布田川断層帯に立ち寄りました.2016年熊本地震で横ずれた土地をそのまま見ることができる,本当にありがたい場所です.展望台ヨ・ミュールでは阿蘇の外輪山の切れ目から吹き降ろすまつぼり風を紹介.新阿蘇大橋下に望む立野溶岩の柱状節理を双眼鏡で覗いたりもしました.震災ミュージアムKIOKUでは当時被災された方がガイドを務めて下さり,しばし交流の場ともなりました.草千里が浜でお昼休憩.まさか巡検の前週に中岳の噴火警戒レベルが上がるとは思っていませんでした(ルートから外すかどうか,少し悩みました).短いながらも自由行動の時間をとり,阿蘇火山博物館を訪ねた人もいれば,草千里の散歩を楽しむ人も.しかし,本当に海外からのお客様の多いこと(平日だからかもしれませんが,日本語があまり聞こえません).2日目後半,これもやはり見ておかねばと,数鹿流崩れを背に阿蘇大橋を目に焼き付けました.また,今最も熱いダムスポットともいえる立野ダム(稼働前)で”水が溜まっている”珍しい姿を捉えつつ,これまでのダムとこれからのダムとの付き合い方について考える時間をとりました.
最終日は熊本港から島原へフェリーで渡りました.地勢図を広げながら周囲の地形を把握しつつ(+カモメと戯れつつ)小1時間の船旅をまずは楽しみました.今回船旅をしてまで島原に渡りたいと考えたのは,1792年に発生した「島原大変肥後迷惑」と呼ばれる眉山の山体崩壊とそれに伴う津波災害のスケールを実感してもらいたかったからです.眉山の山体崩壊は前年から起きていた雲仙岳での火山性地震に起因するとされており,火山・地震・山体崩壊・津波とまさに複合した自然災害です.フェリーの航路はほぼ西⇔東をとっているため(速度こそ異なりますが)それ程長くない距離を津波が往復したのだと島原湾で実感してもらえればと行程に入れました.島原ではバスで雲仙岳災害記念館に向かい,短時間ながら濃い見学をしました(バスが記念館前で停まるルートになっていたら,もう少し落ち着いて見られたのに……と思います).船乗りくまモンの大きなぬいぐるみと共にフェリーに揺られて熊本港へ戻り,(少々スムーズさに欠けましたが)無事に熊本駅で解散,となりました.
やや詰め込んでしまった3日間で,解散までなかなか気の抜けない行程でした.その辺りはまだ要修行だなと思います(熊本空港の出発ロビーの快適さに今回も助けられました).
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